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テリエ法実験中鐵磁粒子非理想行為的檢測(cè)與校正.pdf
新たな古地磁気強(qiáng)度推定方法について ―
鄭 重* 趙 西 西** 上 野 直 子***
Probing and Correcting the Non-ideal Behavior of Magnetic Grains
during Thellier Paleointensity Experiment : A New Method
of Paleointensity Determination
Zhong ZHENG*, Xixi ZHAO** and Naoko UENO***
Abstract
We present a new method of paleointensity determination based on comparing the thermal demagnetization of natural remanent magnetization (NRM) with that of an artificial total thermoremanent magnetization (TRM). Igneous rocks often contain pseudo-single domain (PSD), multidomain (MD), and/or single domain (SD) particles as magnetic remanence carriers under strong magnetic grain (domain) interactions. The magnetic grain interactions have particular disastrous effects on paleointensity experiments, which make determination of paleointensity unreliable. We have critically examined how magnetic grain interactions affect the Thellier experiment, and have developed a new technique for correcting grain-interaction effects in the experiment of paleointensity estimation. The essential point of our experimental method is that by comparing the thermal demagnetization of natural remanent magnetization (δNRM_loss) with that of an artificial total TRM (δTRM_loss) for estimating its paleointensity, rather than that by comparing the remaining of NRM during thermal demagnetization (NRM_remaining) with a progressive TRM_gain in the traditional Thellier-Coe method, which essentially requires the additivity of partial TRM and independence of pTRMs. Using our new method, a mild alternating field (AF) demagnetization pre-treatment is applied to destroy most of the low coercivity remanence, which makes the samples behave more suitebly for a paleointensity study. We also make an apparent paleointensity estimation with pTRM, which is acquired in the perpendicular direction of NRM in a narrow non-overlapping temperature interval and cooled slowly in air. In this way, the non-ideal behavior of samples is detected most sensitively by the discrepancy between NRM loss and pTRM gain. Finally, we employ an artificial total TRM test to elucidate the relation be-tween TRM_loss and pTRM_gain, and to correct interference caused by the non-ideal behavior. We have applied our new method to several representative suites of historical lava flows of known geomagnetic field intensity, and successfully extracted reliable paleointensity with a precision higher than 95% from samples even containing PSD and MD grains.
Key words: paleointensity, Thellier method, non-ideal behavior correction, pTRM measurement, AF pre-treatment, volcanic rocks
キーワード:絶対古地球磁場(chǎng)強(qiáng)度,テリエ法,非理想挙動(dòng)補(bǔ)正,部分熱殘留磁気測(cè)定,交流消磁前 処理,火山巖類(lèi)
I.ま え が き
地球の固有磁場(chǎng)を生成するダイナモ作用の研究 は,コンピュータの計(jì)算能力の急激な進(jìn)歩により 近年大きな進(jìn)展があり,より現(xiàn)実的な電磁流體ダ イナモを數(shù)値実験において検討することができる ようになった。この數(shù)値実験の成果によれば,地 球磁場(chǎng)の定常的な維持および地磁気の極性逆転現(xiàn) 象は,地球外核における電磁流體運(yùn)動(dòng)によって説 明することができる(Glatzmaier and Roberts, 1995)。地心雙極子磁場(chǎng)の逆転は,地球の自転の 変動(dòng)や核?マントル境界における熱流束分布の変 動(dòng)がなくても,電磁流體ダイナモ過(guò)程それ自身に おいて自発的に起きうると結(jié)論されるに至った。 一方,逆転の頻度は核?マントル境界における熱 流束分布による影響を受けるという説も提出され ている(Glatzmaier et al., 1999)。ダイナモのエ ネルギー源の見(jiàn)地から,磁場(chǎng)の生成過(guò)程は內(nèi)核の 成長(zhǎng)やマントルの熱対流などの地球進(jìn)化過(guò)程その ものと密接に結(jié)ばれている。これを解明するため に,過(guò)去の地球磁場(chǎng)の情報(bào)を詳細(xì)に復(fù)元すること は,地球科學(xué)全體にとって非常に重要な課題の一 つである。例えば地磁気逆転の認(rèn)められない白亜 紀(jì)後期スーパークロンの古地磁気強(qiáng)度の解明は, 非逆転モードの電磁流體ダイナモ?モデルの構(gòu)築 にとって非常に重要な情報(bào)となるであろう。 このような流れの中で,近年古地磁気強(qiáng)度に対 する関心度が高まっている。ところが,過(guò)去の絶 対地球磁場(chǎng)強(qiáng)度の測(cè)定は,地球磁場(chǎng)の方位の測(cè)定 に比べてはるかに困難であり,既存の信頼できる データは限られた一部の火山巖から得られたピン ポイント情報(bào)だけである。絶対古地磁気強(qiáng)度測(cè)定 の唯一の材料は火山巖である。これを処理する 既存の標(biāo)準(zhǔn)的な古地磁気強(qiáng)度測(cè)定法は,ThellierCoe 法である(Thellier and Thellier, 1959; Coe, 1967)。この方法は,実験室內(nèi)の既知磁場(chǎng)(Hlab) で試料を段階的に加熱して熱殘留磁化 TRM (Ti, T0)_gain を與え,その大きさを自然殘留磁化 (NRM)の段階熱消磁で消去された部分(NRM (Ti)_loss と呼ぶ)と比較することにより,絶対古 地磁気強(qiáng)度(Han)を推定する。この方法の特徴 から以下の 3 項(xiàng)目が古地磁気強(qiáng)度推定の前提條 件として要求される。 1.重なっていない溫度區(qū)間で獲得した部分熱殘 留磁化(pTRM)の間に加法則が成り立つ。すな わち pTRM (T1, T0)+ pTRM (T2, T1)+ ....... + pTRM (Tn, Tn-1)= TRM (Tn, T0) 2.別々の溫度區(qū)間で獲得した pTRM が獨(dú)立し分 割できる。すなわち pTRM (T2, T1)は T1 以下 の溫度で安定であり,T2 以上の溫度で消磁で きなければならない。 3.印加磁場(chǎng)中で獲得した熱殘留磁化の強(qiáng)度はこ の印加磁場(chǎng)強(qiáng)度に比例する。 これらの條件を満たす強(qiáng)磁性粒子の挙動(dòng)を“粒 子の理想挙動(dòng)”と呼ぶ。Néel(1949)の理論は 孤立した単磁區(qū)粒子(single domain, SD)群が この粒子の理想挙動(dòng)のもとで熱殘留磁化を獲得す ることを証明した。しかし,自然界に存在する通 常の火山巖では,この前提條件を完全に満足する ケースはむしろ希である。通常の火山巖においては,単磁區(qū)粒子が擬似単磁區(qū)(pseudo-single domain, PSD)ないし多磁區(qū)(Multi domain, MD) 粒子と共存するか,あるいは単磁區(qū)粒子がほと んど存在していないことが多いためである。こ の場(chǎng)合,Thellier-Coe 法を単純に適用しても信 頼しうる古地磁気強(qiáng)度を求めることはできない (Levi, 1977; Xu and Dunlop, 1994)。最大で真の 値の 2 倍もの絶対古地磁気強(qiáng)度が測(cè)定される例 が相次いで報(bào)告されている(例えば, Tanaka and Kono, 1991; Tanaka et al., 1995; Hill and shaw, 2000; Calvo et al., 2002; Yamamoto et al., 2003; Mochizuki et al., 2004)。単磁區(qū)粒子が多く含ま れている試料を厳選することは,當(dāng)然一つの対処 方法である。例えば,単磁區(qū)粒子が多く含まれ る斜長(zhǎng)石の単結(jié)晶(Cottrell and Tarduno, 2000) や SBG(Submarine Basaltic Glass)などが考 えられる(Pick and Tauxe, 1993; Smirnov and Tarduno, 2003)。しかし,この種の試料は産出 が限定的であり,かつ仮に得られたとしても通常 は試料のサイズが極めて小さいため測(cè)定誤差が大 きい。従って,根本的な解決方法としては実験方 法の改良が必須である。すなわち,自然界に産す る普通の火山巖から正確に古地磁気強(qiáng)度を求めら れる方法の開(kāi)発が熱望されている。 古地磁気強(qiáng)度のもう一つの測(cè)定法は,人工熱殘 留磁化と自然殘留磁化の段階交流消磁結(jié)果同士を 比較する Shaw 法である(Shaw, 1974)。この方 法は pTRM 加法則と pTRM 獨(dú)立性の二つの前提 條件が全く不要であり,擬似単磁區(qū)や多磁區(qū)粒子 が含まれる試料にも適用できる可能性がある。し かし,人工熱殘留磁化の獲得のためには,強(qiáng)磁性 鉱物の化學(xué)変化をしばしば伴うキュリー點(diǎn)以上ま での加熱が要求されるため,Shaw 法はあまり広 く採(cǎi)用されていない。Shaw 法の欠點(diǎn)である高溫 での化學(xué)変化を補(bǔ)正するために,いくつかの方法 が提案されている。Rolph and Shaw(1985)は ARM(非履歴性殘留磁化)補(bǔ)正法を提案したが, この方法に対する批判は強(qiáng)い(Kono 1987; Vlag et al., 2000; Juarez and Tauxe, 2000)。最近,低 溫消磁 2 回加熱補(bǔ)正法が提案され,成功した実 例が報(bào)告されている(Tsunakawa et al., 1997; Yamamoto et al., 2003)。こうした試みはあるも のの,化學(xué)変化を回避できる最善の方法は,テリ エ法の実験方法そのものの改良である。 非理想挙動(dòng)を示す粒子の顕著な特徴の一つは, ある溫度 Ti まで一旦加熱されてから Ti-1 まで定 常磁場(chǎng),Ti-1 より室溫まで無(wú)磁場(chǎng)環(huán)境で冷卻する 過(guò)程において獲得された部分熱殘留磁化 pTRM (Ti, Ti-1)において,著磁の上限溫度 Ti までの熱 消磁で消去できない部分(pTRM tail という)お よび,著磁の下限溫度 Ti-1 より低溫の熱消磁で その一部分が消去されてしまう部分が存在するこ とである(Dunlop and Ozdemir, 2000)。すなわ ち,消磁溫度(unblocking 溫度という,Tub)が 著磁溫度(blocking 溫度という,Tb)と同一で なくなる現(xiàn)象である。Fabian(2001)はこの現(xiàn) 象に著目して,Tub が Tb のある Cauchy 関數(shù)で あると仮定し,數(shù)値シミュレーションを行った。 彼の主要な結(jié)論は,人工熱殘留磁化と自然殘留磁 化の段階熱消磁結(jié)果同士を比較すれば,絶対古地 磁気強(qiáng)度の推定は,PSD ないし MD 粒子を含む 場(chǎng)合にも適用できるというものである。しかし, この人工熱殘留磁化の獲得は Shaw 法と同じよ うにキュリー點(diǎn)以上の加熱が要求される點(diǎn)が問(wèn)題 である。 我々は,粒子の非理想挙動(dòng)の原因を考察した上 で,上記の問(wèn)題に対処できる実用的な古地磁気強(qiáng) 度推定方法を以下に提案する。
II.新しい方法における改良の要點(diǎn)
標(biāo)準(zhǔn)テリエ法は,全量ではなく部分的な熱殘留 磁化を用いて NRM と比較するため厳しい前提條 件が必要で,通常の火山巖に適用されると問(wèn)題が 生じる。しかし,キュリー點(diǎn)(Tc)以上の溫度ま で加熱して熱殘留磁化の全量(total TRM)を與 え,その大きさを NRM と比較することにより絶 対古地磁気強(qiáng)度を推定すれば,加法則と pTRM 獨(dú)立性の二つの前提條件は不要となるはずであ る。Day(1977)は,チタノマグネタイトの粒 子サイズを均質(zhì)化した試料について熱殘留磁化 の獲得カーブを求めた。地球磁場(chǎng)程度の弱い印 加磁場(chǎng)(< 1 mT)下で獲得された TRM の強(qiáng)度は,粒子サイズが小さい(< 6 μm)場(chǎng)合,ほぼ 印加磁場(chǎng)の強(qiáng)度に比例する。この場(chǎng)合,理論的に NRM(total)より未知の磁場(chǎng)(Han)が求めら れる。
一般的に近接する強(qiáng)磁性鉱物粒子の間に相互作 用が存在し,その TRM の unblocking 溫度分布 (δTRM_loss,重複しない溫度區(qū)間について熱消 磁で消去された殘留磁化の分布)は外部印加磁 場(chǎng)によって微妙に変化する。しかし,Hlab が Han に十分近ければ,ほぼ同じパターンの unblocking 溫度分布が期待できる。すなわち,δNRM (total)_loss はδTRM_lab (total)_loss と比例する。 よって,下記の式が成り立つ。
次に上記の式(1)に基づき,非理想挙動(dòng)が補(bǔ) 正された古地磁気強(qiáng)度 Han の実用式を?qū)Г?。?jiǎn) 単 の た め に, こ れ 以 後δNRM (total)_loss を δNRM と,δTRM_lab (total)_loss をδTRM と記す。また, NRM と TRM に対する段階熱消 磁を行う際に,消磁された重複しない溫度區(qū)間 に部分殘留磁化(pTRM)を著磁し,それぞれ pTRM1 と pTRM2(blocking 溫度分布)を得るこ とにする。TRM_lab(total)を獲得する過(guò)程にお いて強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変化がなければ,pTRM2 は pTRM1 と等しい。よって,
式(2)の必要條件として,(ア)NRM は完全 に TRM 起源であること,(イ)TRM_lab(total) を獲得する過(guò)程において,強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変 化がないこと,(ウ)Hlab を Han に十分近づける ようにすること,(エ)熱殘留磁化の全量(NRM (total)と TRM_lab(total))は外部印加磁場(chǎng)へほ ぼ線形的に依存すること,という 4 點(diǎn)が満たさ れねばならない。式(2)を用いれば,以下の利 點(diǎn)が挙げられる。 第一に unblocking 溫度分布同士を比較する本 方法は,粒子の非理想挙動(dòng)を補(bǔ)正し,unblocking 溫度分布= blocking 溫度という仮定をする 通常のテリエ法より根本的に優(yōu)れている。式(2) は粒子の非理想挙動(dòng)を補(bǔ)正するものである。理 想 挙 動(dòng) を す る 粒 子 の 場(chǎng) 合,δTRM = pTRM2 のため,上記の式は微分式のテリエ法になる。 δTRM/pTRM2 の比は粒子の非理想挙動(dòng)を反映 するパラメータである。我々は以下のように試料 を分類(lèi)する。δTRM/pTRM2 の比が 1 になる粒 子群をSD-like粒子群と呼ぶ。PSD-like粒子群は, そのδTRM は pTRM2 と差があるものの,補(bǔ)正 で正確に古地磁気強(qiáng)度を求めることが可能なもの をいう。一方 MD-like 粒子群は,そのδTRM は pTRM2 との差が大きいため,補(bǔ)正が大きい誤差 をもたらすものとする。 第 二 に,δNRM とδTRM の 比 較 を 行 い 比 例しない部分を棄卻することにより,NRM の TRM 起源の部分だけを適切に判定?選択するこ とが可能となる。例えば,地球磁場(chǎng)に曬されるこ とにより二次的に獲得した粘性殘留磁化(VRM) や,キュリー點(diǎn)以下の溫度で強(qiáng)磁性鉱物が成長(zhǎng) しながら獲得した熱化學(xué)殘留磁化(TCRM)は, 磁場(chǎng)強(qiáng)度との関係が TRM とは異なるため,その unblocking 溫度分布が TRM のそれとは異なる。 比例しない部分は VRM あるいは TCRM とみな して棄卻する。 第三に,pTRM2 が pTRM1 と等しいかどうか により,実験中に強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変化があるか どうかを確認(rèn)できる。 我々はさらに,上記の方法を?qū)g際の試料に適用 する際によりよい結(jié)果を得るための実験技術(shù)を提 案する。 まず,10 ~ 20 mT 程度の部分交流消磁の前処 理を?qū)g施し,式(2)で補(bǔ)正できない多磁區(qū)粒子 などの低い抗磁力を有する粒子の影響を抑制する。また,この前処理で,NRM に含まれる低い 抗磁力を有する二次的な粘性殘留磁化を取り除く ことが期待できる。
次に,再現(xiàn)性のよい pTRM を獲得させるため pTRM(Ti, Ti-1)の著磁方法を吟味する。標(biāo)準(zhǔn) テリエ法では理論的に NRM のベクトルと平行に TRM(Ti, T0)を著磁するよう勧めているが,我々 の方法では,NRM のベクトルと直交する方向へ 重複しない溫度區(qū)間で pTRM (Ti, Ti-1)を著磁 する。この著磁方法にはいくつかの利點(diǎn)がある。 主要な點(diǎn)は,(ア)NRM の方向と直交するため, NRM により生じた?jī)?nèi)部磁場(chǎng)の影響を避けられる ことが期待できる。巖石そのものの內(nèi)部磁場(chǎng)に よって獲得された磁化のバルク平均値は NRM と直交する方向には 0 と期待できるからである。 (イ)微分的に pTRM を分けて測(cè)定した方が,積 分的に TRM を測(cè)定して pTRM を計(jì)算するより も高い信頼度が得られる。著磁する溫度區(qū)間で試 料を均等冷卻することが時(shí)間的に可能となる。強(qiáng) 制冷卻は試料に溫度勾配をもたらし,先に冷卻し た部分の殘留磁化は內(nèi)部磁場(chǎng)を生じ,高溫部分の 殘留磁化の獲得時(shí)の磁場(chǎng)を擾亂するためである。 (ウ)部分熱殘留磁化 pTRM(Ti, Ti-1)を上限溫 度 Ti で熱消磁して殘った pTRM tail((Ti, Ti-1), Ti)は NRM の測(cè)定に影響がないため,実験上の 撹亂要素を未然に防ぐことができる。一般的に pTRM tail の抗磁力は小さい場(chǎng)合が多いため交流 消磁前処理でその大半を消去することができ,ま た,pTRM tail の unblocking 溫度は blocking 溫 度からのズレが高くないので次のステップ Ti+1 溫度でほとんど消去されてしまう。このようにし て我々の実験方法では,他の磁気的要素からほぼ 獨(dú)立した pTRM 分布が得られる。 最後に,いかに強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変化を引き起 こすことなく TRM_lab(total)を獲得させるか が実験上の重要なポイントである。ほとんどの火 山巖は,真空環(huán)境におかれてもキュリー點(diǎn)以上で の加熱に伴って高溫酸化が起こり,強(qiáng)磁性鉱物が 変化してしまう。我々が考案した対処方法とし て,NRM を強(qiáng)磁性鉱物の熱化學(xué)変化が起こる以 下の溫度(Tn)までまず段階熱消磁と著磁(pTRM1 (Ti, Ti-1))を行い,古地磁気強(qiáng)度を抽出するた めの実験データを取得する。次に,消去した自 然殘留磁化 NRM (Tn)_loss に近い TRM(Tn, T0, Hlab)を著磁させ,粒子の挙動(dòng)を解明するための TRM test 実験に用いる。つまり古地磁気(Han) の強(qiáng)度と方向に近い人工磁場(chǎng)(Hlab)を印加する。 すなわち
ここで,NRM (Tn)_remaining は溫度 Tn での消 磁時(shí)に殘った自然殘留磁化である。NRM (Tn)’ _remaining は溫度 Tn での著磁時(shí)に殘った自然殘 留磁化である。両者の差は通常無(wú)視できるぐらい 小さいと考えられる。TRM_lab (total)と NRM (total)の間に明らかな違いがある場(chǎng)合,式(1) で計(jì)算された Han で TRM を著磁し直す。得られ た TRM_lab (total)を新たな“NRM”として, 再度段階熱消磁と著磁(pTRM2 (Ti, Ti-1)を行 う。pTRM1 = pTRM2 かどうかによって化學(xué)変 化の発生を確認(rèn)する。このやり方は,高 Tub 粒子 の磁化 NRM (Tn)_remaining から低 Tb 粒子の殘 留磁化の獲得時(shí)の磁場(chǎng)を擾亂する効果,つまり粒 子間の相互作用を考慮したものであり,TRM_lab (total)に近いものを獲得させることができるわ けである。我々の論點(diǎn)は,近接した粒子間の相互 作用が粒子の非理想挙動(dòng)を引き起こす主要な原因 であり,巖石そのものの內(nèi)部磁場(chǎng)によって獲得さ れた磁化のバルク平均値は NRM と直交する方向 には 0,平行方向に最大と期待できる點(diǎn)にある。 NRM と平行方向に TRM (Tn, T0, Hlab)_gain を獲 得させるなら,粒子間の相互作用の効果を考慮 し,TRM_lab (total)に近い磁化を獲得させるこ とができると考えられる。 しかし,式(3)がうまく機(jī)能しない可能性 として殘るのは,火山巖がキュリー點(diǎn)(Tc)以 上の高溫から溫度 Tn までの冷卻過(guò)程において獲 得した,溫度 Tn における NRM((Tc, Tn), Tn) _gain が,実験室で再び溫度 Tn まで加熱後殘った NRM (Tn)_remaining と異なる點(diǎn)である。NRM (Tn)_remaining には,NRM ((Tc, Tn), Tn)_gain の 殘った部分以外に,溫度 Tn までの熱消磁で消去 できなかった NRM (Tn, T0)_gain の tail の部分 もある。この NRM tail ((Tn, T0), Tn)の部分は, Tn からスタートする TRM_lab(total)を獲得す るための初期値のずれ部分として最終結(jié)果の獲得 に影響が出る可能性があるが,高溫 Tn における 殘った NRM ((Tc, Tn), Tn)_gain に溶巖ができた 當(dāng)初のものと比べて変化があるかどうかは主要な 問(wèn)題であると考えられる。我々の実験によりこの 変化がある証拠を見(jiàn)いだした。すなわち“低溫侵 蝕効果”である?!暗蜏厍治g効果”は今回の研究 で見(jiàn)いだし命名した現(xiàn)象であり,殘留磁化がその unblocking 溫度より低い消磁溫度において消磁 溫度を維持する時(shí)間(hold time)が長(zhǎng)いほど多 く殘留磁化が消去される點(diǎn)で特徴づけられる。通 常 hold time を 90 分程度にすれば殘った熱殘留 磁化は大體安定となる。それにより,この NRM ((Tc, Tn), Tn)_gain は“低溫侵蝕効果”で減衰され, 低溫粒子への作用が弱くなると考えられる。MDlike 粒子群の場(chǎng)合,この“低溫侵蝕効果”が大き いと推察される。従って,MD-like 粒子群の影響 をできる限り除く工夫をする必要が生じる。幸い に PSD-like 粒子群の場(chǎng)合,高 Tb 粒子群から低 Tb 粒子群への作用効果そのものは,その直下の 溫度範(fàn)囲の粒子に影響を及ばすことに留まり,よ り低溫の部分にほとんど影響しないらしい。その 代表例は後ほど紹介する。 後述の応用例で紹介するように,我々の方法を 歴史溶巖に適用し,δTRM/pTRM2 が 0.5 ~ 1.5 をもつ溫度區(qū)間のデータを用いることにより,期 待値からの誤差が 5%以?xún)?nèi)という非常に信頼度の 高い古地磁気強(qiáng)度を求めることに成功した。すな わち,0.5 <δTRM/pTRM2 < 1.5 の溫度區(qū)間の データを用いるなら粒子の非理想挙動(dòng)の補(bǔ)正が可 能であり,信頼できる古地磁気強(qiáng)度が得られる。
III.新しい pTRM 実験法の具體的手順
我々が提案する実験法の具體的な手順を(1) から(9)の段階に分けて述べる(図 1 參照)。
(1)NRM を測(cè)定する。10 ~ 20 mT 程度の交流 消磁の前処理を?qū)g施し,低い抗磁力粒子の影響 を抑制する。
(2)NRM を室溫から Ti まで加熱する。その際 直流磁場(chǎng)はもちろん,電気爐の交流磁場(chǎng)による 撹亂要素も未然に防ぐために,できる限り無(wú)交 流磁場(chǎng)の環(huán)境を作る。殘った磁化を安定させる ために,溫度 Ti になった時(shí)點(diǎn)よりさらに 90 分 程度この溫度を維持した後,無(wú)磁場(chǎng)空間におい て強(qiáng)制冷卻を行う。10 ~ 20 mT 程度で交流消 磁した後で殘留磁化を測(cè)定する。
(3)測(cè)定誤差を考慮して,適當(dāng)な溫度間隔(Ti, Ti-1)を選択する。通常この溫度區(qū)間で NRM の loss が NRM 殘存量の 10%程度になるなら 特に問(wèn)題はない。通常の溫度間隔は 10 ~ 50℃ である。
(4)NRM と直交する方向に pTRM (Ti, Ti-1)を 著磁し,固有 blocking 溫度分布(pTRM)を 得る。室溫から Ti まで無(wú)磁場(chǎng)中で加熱して, 自然冷卻あるいは低定速率での冷卻が行われ る溫度區(qū)間 Ti ~ Ti-1 のみで定常磁場(chǎng) Hlab によ り NRM と直交する方向に pTRM を著磁する。 溫度 Ti-1 から室溫までは無(wú)磁場(chǎng)中で強(qiáng)制冷卻 する。10 ~ 20 mT 程度で交流消磁を行う前後 に pTRM を測(cè)定する。
(5)実験手順(2)~(4)を強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変 化が起こらない程度の溫度域で繰り返し,なる べく多數(shù)の溫度區(qū)間でデータを得る。
(6)溫度區(qū)間ごとに見(jiàn)かけの古地磁気強(qiáng)度を計(jì) 算する。各溫度區(qū)間に消去された NRM_loss (δNRM, unblocking 溫度分布)を同溫度區(qū)間 に得た pTRM1(blocking 溫度分布)で除し, 印加した人工磁場(chǎng) Hlab を乗じて,見(jiàn)かけ古地 磁気強(qiáng)度を計(jì)算する。すなわち,blocking 溫 度順で粒子全體を n 集団に分割し,それぞれ の集団から見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度を得る。
(7)pTRM とδNRM の変化パターンが類(lèi)似する 場(chǎng)合,古地磁気強(qiáng)度推定を行う試料として有望 である。一方,両者の変化パターンに大きい差 異がある場(chǎng)合,古地磁気強(qiáng)度測(cè)定試料として適 切ではなく,実験を中止する。
(8)実験手順(7)において有望と判定された試 料について,人工 TRM test を行い,δNRM と pTRM のずれの関係を求めて,見(jiàn)かけ古地 磁気強(qiáng)度を補(bǔ)正する。この TRM は,なるべく 強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変化(高溫酸化)が起こる以 下の溫度で,消去した NRM の部分殘留磁化を 置き替えるように獲得させる。つまり古地磁気 の強(qiáng)度と方向に近い人工磁場(chǎng)を印加する。この TRM に部分的に置換された“NRM”を新しい NRM とみなし,最初の NRM に行った段階熱 消磁?著磁実験(実験手順(2)から(5))と同 じプロセスで実験を行い,δTRM と pTRM2 を求める。
(9)pTRM の再現(xiàn)性があり(pTRM1 ≒ pTRM2), かつ NRM が熱殘留磁化のみであり(δNRM がδTRM と比例する),さらに 0.5 <δTRM/ pTRM < 1.5 の溫度區(qū)間のデータだけを用い, 式(2)によって非理想挙動(dòng)を補(bǔ)正した古地磁 気強(qiáng)度を計(jì)算する。
IV.検証実験結(jié)果
本実験方法の有効性を表 1 に示す歴史溶巖を 用いて検証した。実験は全て綜合開(kāi)発株式會(huì)社地 球科學(xué)事業(yè)部古地磁気実験室で実施した。殘留 磁気測(cè)定と交流消磁は,それぞれ AGICO 社製の JR-5A 型スピナー磁力計(jì)と LDA-3A 型交流消磁 裝置で行った。熱消磁と著磁は,この実験のため に自社で開(kāi)発した fTD 型熱消磁裝置を用いた。
1)理 想 挙 動(dòng) を 示 す 例(Mexico City 溶 巖, Hawaii1935 溶巖)
Mexico city 溶 巖 試 料 M15-5 と Hawaii 1935 溶巖の新鮮な試料 HA12-3 を用いた。ただし, 試料 M15-5 については,その NRM として人工 Total TRM を用いた。2 試料とも粒子の理想挙動(dòng) を示した。得られたδTRM/pTRM はほぼ 1 であ り,微分式のテリエ法で得られた見(jiàn)かけ古地磁気
強(qiáng)度は,(2)式で補(bǔ)正された古地磁気強(qiáng)度と同 じであり,地磁気観測(cè)データとよく一致すること が明らかである(表 1 參照)。
2)非理想挙動(dòng)を示す例(大島溶巖)
非理想挙動(dòng)を示す代表例としては大島 1986 年 溶巖があり,これについて以下に詳細(xì)に紹介す る。 大島三原山カルデラ內(nèi)の LA 溶巖(火口 A)か ら 2 ブロックの試料(805 と Stop 6)を採(cǎi)取した。 研磨試料を走査型電子顕微鏡にて観察すると,い ずれの試料中の強(qiáng)磁性鉱物も繊細(xì)な骨組み構(gòu)造を 示す粒徑 1 ~ 2 μm 程度の微細(xì)なチタノマグネ タイトであり,このような繊細(xì)な骨組み構(gòu)造を示 す粒子群は試料全體に點(diǎn)在して分布する。急冷さ れてできた溶巖であると判斷できる。 あらかじめ NRM をほぼ完全に消磁しておいた 試料 805-1B を用い,その非理想挙動(dòng)を調(diào)べた。 図 2 は高い blocking 溫度(Tb:340℃~ 360℃) 粒子集団から低い Tb(220℃~ 340℃)粒子集団 の unblocking 溫度分布への影響を示す。試料を
強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変化が起こる以下の溫度で 2 回 著磁した。第 1 回目の TRM_1(340℃,220℃, 50 μT)は上限溫度 340℃から下限溫度 220℃ま で 50 μT の定常磁場(chǎng)で自然冷卻を,220℃より 室溫まで無(wú)磁場(chǎng)空間で強(qiáng)制冷卻を行うことによ り獲得させた。この TRM_1 について段階消磁を 実施し,unblocking 溫度分布δTRM_1 を調(diào)べ た。參考のため,消磁された溫度區(qū)間で TRM_1 と直交する方向の pTRM(Ti, Ti-1, 50 μT)も 測(cè)定した。第 2 回目の TRM_2(360℃,220℃,
50 μT)は上限溫度を 360℃に上げた點(diǎn)のみが 異なる。殘留磁気を測(cè)定する度に 10 mT の交流 消磁前処理を?qū)g施した。TRM_1 と TRM_2 との unblocking 溫度分布の違いは,高い blocking 溫 度(Tb:340℃~ 360℃)粒子集団から低い Tb (220℃~ 340℃)粒子集団の unblocking 溫度分 布への影響を反映する。図 2 に示されたように, この高 Tb 粒子集団による擾亂はその直下溫度範(fàn) 囲(300℃~ 340℃)の粒子集団に留まり,より 低い Tb 粒子集団へほとんど影響を及ばなかった。 すなわち,300℃より低溫の粒子集団は 340℃~ 360℃の高溫粒子集団と獨(dú)立している。
図 3 に同様のことを別の実験で示す。今回 は 試 料 805-1B の blocking 溫 度(Tb) 分 布 と unblocking 溫度(Tub)分布について検討した。 360℃~ 330℃の溫度範(fàn)囲で 50 μT の外部磁場(chǎng) で著磁した pTRM(360℃,330℃)について, 段階熱消磁を行った。Blocking 溫度分布(360℃, 330℃)に対して,Tub は 330℃より低いものも あれば,360℃より高いものもある(図 3(A))。 す な わ ち,blocking 溫 度 と unblocking 溫 度 が 一致しない(Tub ≠ Tb)。しかし,このズレはほ ぼ上下 40℃範(fàn)囲に留まる。300℃より低溫では, pTRM(360℃,330℃)の影響を受けていない。
熱消磁において,hold time を変えて,試料 805-1B の“低溫侵蝕効果”についても調(diào)べた。 その結(jié)果も図 3(A)に示す。Hold time という のは,試料を消磁目標(biāo)溫度に達(dá)してからさらに維 持する時(shí)間である。1 インチコア試料の中心溫度 と縁の溫度を一致させるためには,溶巖であれ ば通常 15 分で充分である。今回は,それぞれ 25 分と 120 分とした。120 分加熱した後は試料の 殘留磁気の減衰が完全に止まった。図 3(A)に 示されたように,この殘留磁気の減衰が発生した 溫度範(fàn)囲は,Tub ≠ Tb の溫度範(fàn)囲と一致する関 係が示された。
上限溫度の 360℃の熱消磁で消去できない殘 留磁気は pTRM tail である(Tub > Tb)。著磁の 下限溫度を下げて,複數(shù)の pTRM tail を獲得さ せ,それぞれの抗磁力を交流消磁実験によって調(diào) べた。いずれの場(chǎng)合も,pTRM tail の擔(dān)い手は 20 mT より弱い抗磁力を有する粒子が多いこと がわかった(図 3(B))。
この結(jié)果から,交流消 磁前処理によって pTRM tail の大部分を有効に 消去できる。また,図 3(B)から次のような情 報(bào)も読み取れる。著磁の下限溫度を下げてより広 い溫度範(fàn)囲で獲得させた pTRM tail は最大 20% しか増加していない。この pTRM tail の挙動(dòng)は 300℃より低溫の粒子集団が 340℃~ 360℃の高 溫粒子集団とほぼ獨(dú)立していることから説明でき る。狹い溫度範(fàn)囲で得られた Tail/pTRM の比は 広い溫度範(fàn)囲のそれよりはるかに大きいため,微 分テリエ法は通常のテリエ法より敏感に粒子の非 理想挙動(dòng)を反映する。
このような非理想挙動(dòng)を示す試料を用い,新し い古地磁気強(qiáng)度測(cè)定法の有効性を検証してみた。 図 4 に三つの代表例を示す。
大 島 溶 巖 試 料 805 の 同 じ コ ア か ら 2 試 料805-1A と 805-1B を切斷した。805-1B は TRM test に用いた:室溫から 380℃に加熱し,25 分 380℃で維持してから,NRM と同じ方向に 50 μT 磁場(chǎng)をかけて,室溫まで自然冷卻した。 この処理で 380℃以下の Tub をもつ粒子の NRM は完全に人工 TRM で置換された。それから,こ の 805-1B について 805-1A 試料と同時(shí)に段階熱 消磁?著磁を 380℃まで行った。得られた結(jié)果 は図 4(A)と(B)に示した。いずれの試料か らも溫度範(fàn)囲(210℃,340℃)の 5 區(qū)間におい て,まとまりがよい見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度が得られ た。試料 805-1B は 50 μT の印加磁場(chǎng)で獲得し た TRM から 62 ± 3 μT の見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度 を得て,試料 805-1A の NRM から 59 ± 4 μT の見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度を得た。これらの 2 試料か ら得た pTRM の分布は溫度範(fàn)囲(210℃, 340℃) において等しいため,試料 805-1B の結(jié)果を用 い,試料 805-1A の結(jié)果を補(bǔ)正しても問(wèn)題がない と判斷した。式(2)により補(bǔ)正された古地磁気 強(qiáng)度は 47 ± 3 μT である。
弱い抗磁力の粒子ほど,非理想挙動(dòng)が顕著であ るが,交流消磁前処理は弱い抗磁力の粒子に擔(dān)わ れる殘留磁化を消去できるため,より強(qiáng)い交流消 磁前処理によって粒子の非理想挙動(dòng)を改善でき るかという點(diǎn)を検討した。大島溶巖試料 Stop6- 2A と試料 Stop6-2B に対してそれぞれ 50 mT と 30 mT の交流消磁前処理を行ったところ,いず れの試料からも非常によく似た結(jié)果が得られた。 粒子の非理想挙動(dòng)がほとんど改善されず,高い抗 磁力の粒子集団も非理想挙動(dòng)を示した。図 4 に Stop6-2B の結(jié)果を示す。
大島溶巖 Stop6-2B 試料は 380℃まで段階熱 消磁?著磁を行った。その結(jié)果を図 4(C)に示 す。380℃まで段階熱消磁で,約 92% NRM が消 去された。従って,380℃以上の Tub 粒子がもつ NRM そのものは小さいため,TRM_lab(total) の獲得への影響が一層小さくなる。TRM test の 結(jié)果を図 4(D)に示す。NRM と TRM test か ら得られた見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度は,低溫の區(qū)間 から高溫の區(qū)間にいくに従い,急激に減少して いる。50 μT の印加磁場(chǎng)で獲得した TRM_lab (total)から得た見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度の平均値は 48 ± 16 μT で,NRM から得た見(jiàn)かけ古地磁気 強(qiáng)度は 45 ± 14 μT である。これらの見(jiàn)かけ古 地磁気強(qiáng)度は± 16 μT,± 14 μT と偏差が大き いが,補(bǔ)正をした結(jié)果,収束した古地磁気強(qiáng)度, 47 ± 2 μT を得た。
大島溶巖試料 Stop6-1C は 400℃まで段階熱 消磁?著磁を行ってから,TRM test に用いた。 400℃までの段階熱消磁では 85%の NRM が消 去されたが,まだ 15%程度の NRM が殘留し た。ほぼ全溫度範(fàn)囲 260℃~ 400℃において, pTRM1 と pTRM2 がよく一致する分布を得た。 しかし,最高溫度範(fàn)囲 360℃~ 400℃でδNRM 曲線がδTRM 曲線の変化傾向と異なる。我々が これまでに行ってきた実験例では,キュリー點(diǎn) (Tc)以下で著磁した TRM test のほとんどの場(chǎng) 合において,こういった?jī)A向が観察された。これ は前述した,近接した強(qiáng)磁性粒子間の相互作用 を考えることにより説明できる。すなわち,Hlab と Han との差異が大きい場(chǎng)合も一つの要因とな るが,今回の場(chǎng)合は NRM の“低溫侵蝕効果”も しくは pTRM tail 効果が大きな要因であると考 えられる。幸いに,この影響はその直下の溫度 範(fàn)囲 360℃~ 400℃の粒子に影響を及ばすこと に留まり,より低溫の部分 260℃~ 360℃には ほとんど影響しなかったらしい。δNRM 曲線は δTRM 曲線とほぼ調(diào)和的である。よって,これ らの區(qū)間のみのデータを古地磁気強(qiáng)度の推定に採(cǎi) 用した。50 μT の印加磁場(chǎng)で得た TRM から得 た見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度の平均値は 44 ± 2 μT で あり,NRM から得た見(jiàn)かけ古地磁気強(qiáng)度の平均 値は 42 ± 2 μT である。補(bǔ)正された古地磁気強(qiáng) 度は 48 ± 2 μT である。
3)実験結(jié)果と観測(cè)値との比較
大島 1986 年溶巖の試料から得られた古地磁気 強(qiáng)度は,補(bǔ)正前には試料によってかなりばらつき が認(rèn)められた。補(bǔ)正後はよく収束し,5 試料の平 均値は 48 ± 1 μT である。これは,本研究で提 唱する新しい実験?補(bǔ)正方法の有効性を立証した といえる。大島における 1986 年の地磁気全磁力 は,噴火前後の IGRF2000 と IGRF1985 によって計(jì)算された値によれば,いずれも 46 μT で ある。しかし,大島の溶巖は磁化強(qiáng)度が大きく, 3000 ft 高度の航空磁気異常が最大 2.6 μT ほど である。我々が試料を採(cǎi)取した地點(diǎn),三原山カ ルデラ內(nèi)の LA 溶巖(火口 A)の航空磁気異常は 1 μT 程度である(Nakatsuka et al., 1990)。ま た,Mochizuki et al.(2004)が溶巖 LC 付近の 地表で測(cè)定した全磁力は 47 μT であった。そこ での航空磁気異常は地表の 40%の 0.4 μT 程度 である。従って,LA 溶巖付近の地表磁気異常は 航空磁気異常の 2 倍の 2 μT 程度である可能性 が高い。すなわち,本実験方法から推定された 5 試料の平均全磁力推定値 48 ± 1 μT は実際の地 磁気観測(cè)値とよく一致する。
V.今後の課題
以上の検証実験結(jié)果は,明らかに非理想挙動(dòng) を示す擬似単磁區(qū)試料の場(chǎng)合でも,本実験方法 を適用することにより,古地磁気強(qiáng)度推定に用 いることができる好例を示している。この実験方 法では,理論的に total TRM の外部印加磁場(chǎng)へ の線形依存性のみが要求され,従來(lái)の実験方法に 比べて要求される前提條件が少ないという利點(diǎn)が ある。擬似単磁區(qū)サイズ以下の粒子は間違いな くこの前提條件を満足する。一方,多磁區(qū)粒子 を多く含む試料は顕著な非理想挙動(dòng)を示すため, 適切な試料の選定が必要であるが,δTRM_loss/ pTRM_gain の値が大きいものを排除すればよい。 しかし,いかに強(qiáng)磁性鉱物の化學(xué)変化を引き起こ すことなく TRM_lab (total)を獲得させるかが実 験上の重要なポイントである。改良要點(diǎn)の章での 式(3)はこの獲得方法を提案したが,明らかに 多磁區(qū)粒子の場(chǎng)合には適用できない。我々の理論 からは,単磁區(qū)ないし擬似単磁區(qū)粒子群の場(chǎng)合, 式(3)で得られた TRM_lab (total)は,強(qiáng)磁性 鉱物の化學(xué)変化を引き起こすことなくキュリー點(diǎn) からの冷卻過(guò)程で獲得された理想の TRM 全量と 比較すれば,溫度(Tn)上下の溫度區(qū)間において ズレが起こる可能性があるが,それより低い溫度 範(fàn)囲ではほとんど違いがないと推察される。今回 の実験上で,δTRM_loss/pTRM_gain の値が 0.5 ~ 1.5 の範(fàn)囲の値をもつ擬似単磁區(qū)粒子群であれ ば,古地磁気強(qiáng)度推定上ほとんど問(wèn)題がないこと を示した。しかし,MD-lke 粒子と PSD-like 粒 子との區(qū)分基準(zhǔn)はまだ確立されていない。この區(qū) 分基準(zhǔn)を決めるδTRM_loss/pTRM_gain の値につ いては,今後の研究課題である。